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はじまりの年

2017年春。吉野の山々で一斉に桜が咲き乱れるその時期に、吉野杉の家はオープンしました。約1か月の試行錯誤を経て、はじめての予約が4月7日に入りました。その後、12か月の間に迎え入れたゲストは32か国346人に登り、その多くは日本全国からの国内旅行者でした。スペインのプリツカー賞を受賞した建築学研究者やオーストラリア代表オリンピック水泳選手、各地のミュージシャンやアーティストなど、数々の人が訪れました。ホストはさまざまなおもてなし方法を試しつつ、水曜日から日曜日にかけて吉野杉の家にゲストを迎え入れ、70%の稼働率がありました。

吉野の月別リスティング稼働率および気温

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はじめの1年間で、吉野杉の家は24,990ドルの利益がありました。運営に携わったホストの収入にもなりましたが、その利益の多くはコミュニティへの再投資として活用されました。また、カフェでもゲストや地元の人の朝食やランチの提供をとおし、2,814ドルの利益がありました。このプロジェクトは、該当期間中のホストの合計収入50,000ドル以上、70の仕事を支えるという結果をもたらしました。

 
 
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吉野杉の家とカフェの利益総額

 
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吉野のプロジェクトで活躍するAirbnbホストの平均収入額

 

吉野杉の家は、コミュニティに住む人々がホームシェアリングをはじめるきっかけにもなりました。プロジェクトが始動する前の2015年9月、たったの4件だったこの地域のAirbnbのリスティング掲載数は、2018年現在では15件へと増加しました。

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この小さな建物が、こんなにも大きな影響力を持つようになるとは思ってもみませんでした。
— 長谷川豪さん、建築家

地元の体験をとおした
文化保護

吉野杉の家に宿泊したゲストのほかにも、この家を見に670人以上の日帰り旅行者が吉野川の辺りを訪れ、観光の増加につながりました。この変化は町の職員のみなさんにも好意的に受け取られ、さらにメディアの取材などで町の工匠や職人にスポットライトが当てられる機会となりました。その結果、知らない人をお家に迎えておもてなしするメリットを知ることで、閑散期であったシーズンにもホームシェアリングが盛んになりました。

 
 

吉野杉の家は、ゲストの現地体験の中心的な存在となりました。人との直接の関わり合いは、コミュニティを立ち上げ、文化的な交流を発展し、共感や理解を強めました。また、もっとも目に見える形として、地域が一体となり、この町を訪れる人々に紹介をしながら、伝統文化を保護して守る機会をもたらしました。

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共に町を立ち上げる

2017年10月、吉野の町に記録的な強さの台風が直撃しました。2日間で川の水位は瞬く間に普段の5.4m(18ft)も上がり、建物の1階にある共用ダイニングテーブルの下まで浸水してしまいました。しかし、その数時間後、ホスト、町の職員の方々、そしてコミュニティのみなさんまでが吉野杉の家へ一堂に集まり、清掃と修繕作業がはじまりました。地域のみなさんのおかげで、被害は最小限にとどまり、電気系統やパイプへの被害は免れました。そして、数日後には予約受付とホスティングを再開しました。

After the typhoon

ゲストの受け入れを再開した後のある夜、吉野杉の家のホストは清掃や修繕をお手伝いしてくれたみなさんを招き、お祝いのパーティーを開きました。

 
 
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12か月を終えて

ホスティングをはじめてから1年、吉野杉の家は町を訪れる人々にその土地での暮らしのひとコマが垣間見る体験、そして日本だけでなく海外でも、豊かな文化を持つ地域における新たな経済成長のお手本を提供してきました。吉野杉の家はただの「建物」ではなく、「人はみな、コミュニティを求めている」ということを物語る象徴です。

吉野杉の家のオープンから、日本全国や海外のたくさんの町村地区が、吉野の町のようなコミュニティをあげてのおもてなしを取り入れようとしています。その結果、地方のコミュニティに成功に導くヒントを共有し、地域経済の活性化に取り組むことが実現しました。この数年間で、世界中にある類似地域にもこのモデルを取り入れ、地域に根づいた観光と経済の活性化を図っていきたいと考えています。ご興味のある町や村のみなさんは、ぜひこちらよりお問い合わせください。

吉野杉の家はコミュニティの一部なだけではなく、いまや私たちの生活の一部なんです。
— 石橋輝一さん、木材商・大工・Airbnbホスト
 
 
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吉野杉の家のようなプロジェクトをとおして、私たちも「これからの暮らし」のアイディアを模索したり、共有する空間としての「家」について考えたりする機会をもらいました。将来的に世界中の国や地域で応用できるようなモデルを創造することが準備段階での焦点でした。たった1年間の間で吉野の町に起きた成長と発展は、私たちのチームに大きな刺激をもたらしただけでなく、高齢化に過疎化といった同様の問題に直面している世界中の町や村に大きな希望を与えてくれました。
— ジョー・ゲビア、Airbnb
 
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